蘇州・太平禅寺「太平有象」|高さ3.9mの大型青銅ランドスケープ彫刻
作品名:太平有象
設置場所:中国・蘇州 太平禅寺
設置空間:寺院境内広場
種別:大型青銅ランドスケープ彫刻
総高:約3.9m
材質:シリコンブロンズ(ケイ素青銅)
主な意匠:四頭の象、蓮葉、宝瓶、法輪、須弥山、宮殿・楼閣
製作内容:デザイン・製図・泥塑原型・型取り・青銅鋳造・製作管理
製作期間:約6か月間
完成:2022年10月
蘇州・太平禅寺「太平有象」
須弥山を象徴する基壇、安定感のある四頭の象、そして蓮葉・宝瓶・法輪へと連なる垂直構成によって、地域に根ざした「太平」の願いと、寺院空間にふさわしい仏教的象徴性を一つの大型景観彫刻として表現しました。
中国・蘇州の太平禅寺境内広場に設置された、高さ約3.9mの大型青銅ランドスケープ彫刻です。
作品名は、
太平有象(たいへいゆうしょう)
「太平」は、作品が設置された太平禅寺の寺名であると同時に、寺院が所在する太平古鎮の地名でもあります。
さらに「太平」には、平穏で安らかな世を願う意味も重ねられています。
この三つの意味を一つの作品にまとめ、寺院の境内広場そのものを、平安と吉祥を願う象徴的な場所として表現することが、本作品のデザインコンセプトとなりました。
「太平」と「象」を結ぶ吉祥の意匠
中国の伝統的な吉祥文化において、象は穏やかさ、安定、吉祥を象徴するモチーフとして用いられてきました。
本作品では、上部に四頭の大きな象を配置しています。
象は力強さだけを強調するのではなく、全体に落ち着きと親しみを感じさせる、穏やかで安定した表情として造形しました。
寺院名である「太平」と象の吉祥性を重ねることで、
太平・安穏・吉祥を願う空間
という作品全体のテーマを表現しています。
四頭の象による安定した造形
作品上部には、四方向を意識するように四頭の象を配置しています。
大型彫刻では、遠くから見た際のシルエットと、近くから見た細部の双方が重要です。
そのため、四頭の象には過度な動きを与えず、どっしりとした量感と安定感を持たせました。
寺院の建築や広場の空間と競うのではなく、境内に自然に馴染みながらも、訪れた人の視線を引きつけるランドマークとなることを意図しています。
頂部の蓮葉・宝瓶・法輪
作品の頂部は、蓮葉を意匠化した台座、宝瓶、法輪を垂直方向に組み合わせた構成としています。
四頭の象の上には、まず蓮の葉を思わせる柔らかな造形を配置し、その上に宝瓶、さらに最上部に仏教を象徴する法輪を据えました。
蓮は仏教美術において清浄性を象徴する代表的な意匠の一つであり、宝瓶もまた寺院荘厳や仏教美術の中で用いられてきた吉祥的な造形要素です。最上部の法輪は仏教を象徴する重要な意匠であり、この作品が一般的な都市モニュメントではなく、寺院境内に置かれる景観彫刻であることを明確にする視覚的な要素となっています。
造形的にも、量感のある四頭の象から、蓮葉、宝瓶、法輪へと上方に向かって徐々に形を絞ることで、高さ3.9mの作品全体に安定感と上昇感を与えています。
作品下部は、仏教の世界観における須弥山をモチーフとした造形で構成しています。
単なる台座として処理するのではなく、山岳の量感を持つ立体彫刻とし、その中には須弥山世界を想起させる宮殿や楼閣を細かく表現しました。
その上に「太平」を表す基壇、四頭の象、蓮葉を意匠化した台座、宝瓶、そして最上部の法輪を積み重ねています。
これにより、
須弥山を象徴する下部から、四頭の象、蓮葉、宝瓶、法輪へと視線が上昇していく構成
となり、高さのあるモニュメントとしての象徴性と、寺院空間にふさわしい仏教的な意匠を一体化しています。
寺院広場そのものを「祈りの景観」に
「太平有象」は、彫刻単体を見るためだけの作品ではありません。
太平禅寺の境内広場に設置されることを前提として、寺院建築、参拝動線、広場のスケールとの関係を考えながらデザインされています。
訪れる人が彫刻を眺め、周囲を歩き、写真を撮り、寺院空間の中で自然に作品と接する。
そうした体験を通じて、広場全体に
太平を願い、吉祥を祈る場所としての雰囲気
が生まれることを目指しました。
単なる装飾物ではなく、寺院の名称、土地の文化、仏教的意匠を空間へ落とし込んだランドスケープアートです。
デザインから実寸大泥塑原型へ
本作品では、上海妙相が造形コンセプトの整理からデザイン、製図、実寸大泥塑原型の製作までを担当しました。
大型青銅彫刻では、図面だけで最終形状を決定することはできません。
全体のシルエット、四頭の象の量感、宝瓶との比例、須弥山部分の凹凸や宮殿意匠などを、実際の立体として確認しながら調整する必要があります。
そこで、図面をもとに大型の泥塑原型を製作し、各方向から全体のバランスを確認しながら造形を仕上げました。
原型製作・型取り・青銅鋳造
泥塑原型完成後、鋳造用の型取り工程へ進みました。
高さ3.9mの大型作品であるため、一体で鋳造するのではなく、形状、鋳造条件、輸送、現場組立を考慮しながら部位ごとに分割して製作します。
青銅鋳造については、大型金属鋳造設備を持つ専門協力工場と連携しました。
使用材料は、
シリコンブロンズ(ケイ素青銅)
です。
鋳造後は、各部材の接合、溶接、表面調整などの工程を経て、大型作品として完成させます。
専門工房と連携する製作体制
本作品では、すべての工程を一つの工場で行うのではなく、それぞれの技術に応じた製作体制を組みました。
上海妙相
専門協力工場
大型造形では、デザイン力と原型制作力に加え、大型鋳造設備や金属加工技術が必要です。
株式会社妙相では、一つの工場ですべてを完結させることにこだわるのではなく、素材と工程ごとに適した専門技術を組み合わせ、作品全体を管理することを大切にしています。
約6か月間で完成
本作品は、デザイン、製図、泥塑原型、型取り、青銅鋳造、金属加工などの工程を経て、約6か月をかけて製作しました。
2022年10月に完成し、蘇州・太平禅寺の境内広場に設置されています。
完成後は、寺院建築と一体となった大型景観彫刻として、広場の象徴的な存在となっています。
大型彫刻・寺院景観アートの特注製作
株式会社妙相では、寺院や宗教施設、文化施設、公共空間などに向けた大型彫刻・景観アートについて、企画段階からご相談いただけます。
青銅、木彫、石材、アートガラスなど、作品の意匠や設置環境に応じて素材と製作方法を検討し、
企画・デザイン → 原型製作 → 専門工房との製作調整 → 品質確認 → 輸入・納品
まで、日本側の窓口として対応いたします。
既存の図面をそのまま製作するだけでなく、寺院名、地域文化、空間の意味などを踏まえたオリジナルモニュメントの企画・造形についてもご相談いただけます。
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